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【旅】Chicago-NYC 第1話「水を飲む事さえ億劫な朝に」

さて、何から話そうか。今僕は日本に向けて飛立つNH11便(ANA)を待ちながら『シカゴ
オヘア空港(Chicago O’Hare Airport)』のファーストクラスラウンジでフルーツを食べて
いる。今回の旅も本当に短かった。様々な理由が重なり大きく日本を離れずに「出張?!」っ
てな勢いでのアメリカ訪問。日程だけ見れば本当に出張並みの「3泊5日」。慣れているから
なんとも思わないが、普通の人ならノックアウトされるようなスケジュールで今回も動いていた。

ラウンジの窓からはオヘア空港の7本ある滑走路の一本と、鉛色の空がぼやけた境界線を作り
ながら目の前に広がっている。一日2713便もの離発着がある世界一忙しい空港のそれを誇る
様に、常にジェットエンジンの咆哮がBGMの様に体に伝わって来る。乾燥した冷たい空気は
彼方遠くの景色をクリアーに映し出し、アメリカの広大な大地の空気の持つ質量感を余す所な
く伝えて来る。それはニューヨークの『ジョン・F・ケネディ国際空港』では味わえなかった
「大陸」の持つ独特の果てしなさ、とでも言おうか、一個人として初めてアメリカの内陸部に
足を伸ばした事で初めて感じる事が出来る独特な感覚なのだ。・・・シナモンをふんだんに
盛ったカプチーノをすすりながらこのほんの一瞬に過ぎ去った4日間を思い出す。時間と空間
が歪んだこの感覚、移動を繰り返し様々な人に出会い、多くの物をその視界に捉え、そして何
か自分に足りていないピースの一部として吸収をしてゆくその行いそのものが懐かしくも
あり、また同時に僕という個性のレゾンテートル(の一部)である事を再認識し、その懐かし
さはある種の確信となって心の奥底に染み渡ってくる。・・・また一機背後で鉛色の空へ向
かってユナイテッドが羽ばたいてゆく。シカゴ・オヘアの空、その雄大な姿を目の当たりに
したのはそう、ほんの4日前の話だ。


■TOKYO Shiba 26:00, 26/Dec

2006年の瀬の「東京・芝」。同僚より一足早く(いや二足か)冬の休暇を頂いて海外へ脱出
するために、年内最後となる書類や資料をラップアップしてメールを送信する。机は大して
片付けず、ほぼそのままの姿でオフィスを出る。外の風は止んだばかりの小雨のせいか、冷
たく湿っぽい。東京タワーの麓でタクシーをつかまえそのまま目黒にある自分の部屋に帰る。
部屋に着いた段階で既に26:30。明日からのアメリカ行きの準備など整っている訳がなく、
いつも海外に出かける時に使っている大型のスノーボードチーム遠征用のバゲージを引っ張り
だすとおもむろに深夜のパッキングを開始する。横目にテレビを見つつ、現地シカゴの現在の
天候をネットで調べる。

「現在のシカゴ都市部の気温は0度、この先数日間の天候は概ね良好。」

シカゴは厳冬で知られるミシガン湖のほとりにある街。「Windy City(風の街)」という
愛称で知られる様に、ミシガン湖を経て街へたどり着く風は冷たく、そして乾いている。
気候区分は亜寒帯気候に区分されるいわゆる「超寒い」街だ。しかしながら幸運な事にここ
一週間ばかしその寒さが緩んでおり、日中の気温が8度位ある日も珍しくない。通常の12月
は日中最高気温がマイナスという事も珍しくなく、もちろん最低気温はマイナス20度程度ま
で下ってしまう事は覚悟しなければならない。天候のトレンドを見ながらある程度持ってゆく
洋服を考えたのだが、どうやら今回はそれほどセンシティブに寒さ対策をする必要はなさそう
だ。とはいえシカゴはシカゴ。旭川出張時位の用意を詰込み、諸々パッキングが終わった頃に
は既に空が明るくなりかけていた。


■TOKYO Shibuya 06:13 26/Dec

ホームに滑り込んで来る「成田エクスプレス1号」のグリーン車となる6号車に滑り込む。
窓際の席に座り、おもむろにiPodにパワーを入れ、車窓に目をやるうちに気がつけば夢の中
だった。出来る限り電車に乗りたくないタイプの僕としては、新幹線も同様に基本的には人口
密度の低いグリーン車にしか乗らない。席が広いとか、そういう問題ではなくてとりあえず
周りが静かで人口密度が低ければそれで満足なのだ。・・・だから混み合ってるグリーン車
などはもうどうしようもない。

そんなつまならないこだわりなど読んでる人にはどうでも良いのだろうが、まぁそんな事を
思う奴もいるって事で読み流してくれれば良い。一部の例外を除き、グリーン車や
SuperSeat等の座席はそこそこ旅慣れた人が座っている事が多く、自分含めて落ち着いて
移動時間を使える、という点が一番好きなのかもしれない。いや、移動時間そのものにロマン
やドラマを感じる僕自身、静寂が支配するそういう空間から見る車窓をより非日常的なものに
したいから、生活感のあるノイズが訪れにくいこの空間が好きなんだろう。旅情とはたぶん
自分自身でプロデュースするものなのだから。

定刻通り7時29分に「成田空港第1ターミナル」にNE’Xは滑り込む。今までANAは「第2ター
ミナル」に位置していたので第1ターミナルでのANAチェックインは初。そう考えると結構
長い間海外に出ていなかった事に驚くのだ。地下のホームから地上階に昇りつつ思い出した
のは、大学の卒業旅行のこと。あの時は確か英国航空を使ったので、このエスカレータや
セキュリティチェックを通過したのだなぁ、と10年近くも前の僕が見ていた景色がフラッ
シュバックしてくる。・・・成田の最初の関門であるパスポートチェックのゲート。この辺り
から誰もがこの後の旅に思いを馳せ、国際空港独特の高揚感を覚えるのではないだろうか。
仕事で一週間に2度も3度も成田に来ていた頃でさえ、この高揚感は無くならなかった。無機
質な床に反射する蛍光灯の灯りや、高い天井に反響するインフォメーションアナウンス。
楽しそうに笑い合う仲間同士や、イライラと何か電話をしているビジネスマン、要領を得ず
ウロウロと彷徨う旅慣れない旅行者達。その全てが国際空港のチェックインカウンター周辺
を彩る景色でもあり、共演者でもある。こういう落ち着きの無さは不思議と出国手続きを
終え、ボーディングゲートまで進んでしまえば多くの人から消えている。おそらくそれは、
ボーディングゲートの段階ではある種の覚悟というか、旅行者としての心構えが不思議と
その人達の立ち居振る舞いを一段変化させるからなのだろう。


僕はといえば、この最もワクワクする瞬間に最も疲弊していた一人かもしれない。日常から
解き放たれて、非日常への入口を通過した瞬間に、その一年間溜め込んだ疲れが緊張感の
弛緩と共に襲いかかって来たのだ。それは、エスタロンモカ(Caffeine Tablet)をオーバー
ドーズ(過剰投与)して無理矢理数日間徹夜で試験勉強をした大学時代の、薬が切れた時の
猛烈な疲労感と睡魔に酷似していて、とにかく熱っぽく、体が重く、そして見えない疲労感に
押しつぶされそうになっている。これは、大好きなパンケーキを朝食に選択してもなお癒える
ことがなく、気付けにがぶ飲みした煮詰まったコーヒーとタバコが余計事態を悪くした。
・・・それでも俺はこれから初シカゴだ、全てを楽しまなきゃ後悔する。その深く沈んだ期待
感だけが僕を突き動かしていた、そんな朝だった気がする。

向こうで合流する予定の友達へのお土産を買い、そのままチェックインカウンターへ向かう。
サクサクとボーディングパスを発券してもらい、バゲージを預けてそのままプライオリティ
セキュリティー(Priority Security/優先検査場)を通過。ちょっと離れたX-Ray検査場は
出国を待つ旅行客で猛烈な列を作っているが、優先検査場には人はまばら、待たずにそのまま
通過しイミグレーションへ。イミグレ通過後にちょこちょこ身の回りの品を購入し、ボーディ
ングまでの空き時間を過ごす為にラウンジへ向かう。新装開店したターミナル1はどこも
綺麗。中の造りも比較的海外の空港に近づいている感じ。ボーディングエリアも広めに取ら
れ、様々なデジタルサイネージ(電子掲示板)で情報が表示され、あまり迷うことはないだろ
う。

ここまで来てもぼんやりした頭を重たげに持ち上げながら、南ウイング中央に設置されたラウ
ンジへのエスカレータを昇ってゆく。カウンターでボーディングパスを見せると、左右に分か
れたラウンジエントランスのうちの右側へ案内される。そう、右側は『ANA FIRST CLASS
LOUNGE』。一年間個人的に頑張った(と思っている)自分へのご褒美として、今回の
シカゴ往復はFIRST CLASSを利用した。人影もまばらなラウンジの奥に陣取って、
ドタァ〜っと疲れた身体を横たえる(寝ちゃいないけど)。
すぐさまラウンジスタッフの子がやって来て「お飲物は?お食事は?」と質問をしてくる。
「へぇぇ、さすがにいつものビジネスラウンジとはちょいとサービスが違うのね・・・」と
心の中で思いつつも、紅茶をお願いして、眼前に広がる曇天に目をやり、何故か楽しい旅を
目前に疲れきっている自分に不愉快になったりする。眠い・・・とにかく眠い。睡魔より
もっと重い、何か抑圧された疲れが自分に襲いかかる様な眠気。何かがドッと自分の体に
押し寄せている。


■TOKYO NARITA ANA First Class Lounge 10:28 26/Dec

イングリッシュブレックファーストと思われる紅茶を飲みつつ、横に置かれた膨大なおやつ
(頼んでない・・・)を普段なら平らげる所だろうが、ぜ〜んぜん食う気が起きず放置
(今思えば勿体ないというか、俺としてマジか?と思うくらいあり得ない行動だった)。
ちょっと前に香港便のファイナルコールがされていたが、いよいよ「シカゴ行き12便を
ご利用のお客様は・・・」と僕の乗る便のファイナルコールがされる。「さぁて・・・」と
重い腰(ジジィか?)を上げ、57番のボーディングゲートへ。ファイナルコールだから当然
なんだけどゲートに人がいない・・・。ってか俺ゆっくりし過ぎだろ・・・。普段ならほぼ
最初の方で優先搭乗を利用していち早く乗り込み、大好きな飛行機の旅を満喫しているおいら
なのに、本当に今日は何から何までテンションが違う。ノソノソと改札を済ませ機内へ。
ドアの所のCAさんに挨拶をして入ると・・・

「湯葉様、お席は最前列右手の窓側でございます」

え?知ってるよそんなの。と思ったその瞬間・・・

俺ボーディングパス見せてないぞ?顔見て俺が「湯葉」だって判るのか?ファーストは
そこまでか?!凄すぎるっ!

と思うのもつかの間・・・。種明かしは簡単だった。

ファーストクラスの乗客おいら一人。。。(ポツーン)

予約端末ではもう一人いたのに・・・。確かに超VIP用に最後までブロックする座席
(最前列ポートサイド=左側=1Aの席)だったけど、マジでブロックアウトしたら誰も
予約無かったのかよー(悲)。だ・・・誰もいねぇ、この空間。

【予約時誰かがいたハズだった1A画面下側の座席・・・】


「Duvetica」のダウンを預け、荷物を置くおいらの背中に注がれる恐怖のCAさん6個の
視線・・・まさか1対3の至れり尽くせり状態が11時間・・・(冷汗)。「おいおい、今日
一人だっちゅーからどんなの乗って来るかと思ったらこの小汚いジーンズ履いたガキかよ?」
とか、「なんだか弱り切ってねー?このお兄ちゃん」とか「ぜってぇフルフェアで乗ってねぇ
だろ?コイツ」みたいな心の声が・・・声が・・・。この恐ろしい状況、、、これっていわい
る。そうよく言う、

『ファーストクラス貸切で弄られ放題・・・』

でつか?!

◆第2話につづく・・・


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